良いDJには秘密があると思っている。
僕はそれが知りたい。
でも自分なりに発見できたことは、いくつかある。
そのうちの一つを話そう。
最初の頃は、ソロリソロリと慎重に。
変にならないように、じわじわフェーダーを上げ、
気づかれないように、ローから順番にEQを入れ替えていく。
終わったら一安心。
そして曲が終わると、また次へ。
そんな感じだった。
でも、続けていくうちに
「変だな」と思うことが出てきた。
あるとき、
プレイ中に間違えて音を止めてしまった。
一瞬、時が止まった。
音は途切れたけど、リズムをキープしてキューボタンを連打しながら、
フィルターを回して再生したら――
まるで演出のように
うまいこと持ち直せた。
危なかったけど、
そのスリルが、たまらなくリアルだ。
そして気づいた。
これって、曲のリズムとノリにさえ合っていれば、
なんでも成立するんじゃない?
だから、
僕が楽器を演奏するように、
ミキサーを操作するのは、
つまりは、そういうことだ。
ノリとリズムさえ崩さなければ、
表現にルールなんてない。
いつだって、自由だ。
そうだろ?
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